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「な、なに?」
「傘を持ってくれないかな」
「あ、はい」
二人の間で傘を持っている
のは腕が疲れるだろうと、純
平は思った。そう思ったから
即座に傘を握った。
「ん」
「……ん?俺持ってるから放
していいよ?」
不思議なことに……牧村は
純平が握った上から傘を握り
直し、そのまま何食わぬ顔で
歩いている。
「フフッ。放さないよ?」
「??」
楽しげに笑う牧村に、純平
は益々首を傾げる。状況が理
解出来ずに目を丸くするばか
りの純平に、流石の牧村も照
れくさくなった。
「手、繋いで歩けたらいいん
だけどね」
あっ――小さく声を漏らし
たのが純平の返事だった。
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