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「牧村さんは何か弾ける?」
「んー……今でも弾けるかは
解らないけど、ピアノを少し」
牧村は片手を浮かせて鍵盤
を叩く真似事をして見せる。
「おお!ピアノってグランド
ピアノ?クラシックとか?」
「子供の頃に母がよく弾いて
いたよ。クラシックよりジャ
ズの方が多かったかな。まぁ、
もう何十年も弾いていないか
ら指が動かないだろうけどね」
「ジャズかぁ……やっぱアコ
ギ買おうかな」
「急にどうしたの?」
「ジャズはムリかもだけど、
アコギがあれば家でも弾ける
し、牧村さんにも聴いてもら
えるじゃん?」
「え?」
「あ、電車きたよ」
純平にとっては何気ない会
話で終わったが、牧村は胸が
締め付けられる結末だった。
今すぐ純平を抱き締めたいと
思うぐらいにはヤられていた。
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