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「……フッ」
牧村は言葉には出さずに、
愛しげに目を細めて純平を見
つめた。
「っ!」
その瞳をばっちり見返して
しまった純平は火が点いたよ
うに頬を朱に染める。
指先に触れてきた牧村の手
が、ケースから引き剥がした
純平の手を握った。指と指を
絡ませ、煽るように肌を撫で
る。
「ま、牧村さっ」
「大丈夫。見えやしないよ」
純平の言いたいことを察し
て先手を打った牧村は、こう
いう時は決まって悪い男にな
る。
「汗ばんでるね。帰ったら一
緒に風呂に入ろうか?」
「ひ、ひとりでいいッス」
「背中流してあげるよ?」
「……ホントに?流すだけ?」
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