764人が本棚に入れています
本棚に追加
――最寄り駅に着いてやっ
と人混みから逃れることが出
来た二人は、またひとつの傘
に収まった。
以前の家とは違い、駅前の
コンビニを逃すと店がなくな
る。だから必ず寄って行くの
が純平の決まり事だった。
「何かいる?」
「んー。昨日、帰りがけにス
ーパーで買い込んでおいたか
ら、特にないかな」
「そっか。じゃあ俺ちょっと
一回りしてくるね」
コンビニの入口でそんなや
り取りをし、牧村を残して純
平は雑誌棚を見ながら奥へと
進む。
突き当たりの飲料水コーナ
ーを前に足を止め、何を飲も
うかと物色していると、すぐ
後ろで声がした。
「たまには飲もうか?」
「っ!牧村さん?」
「ん?」
振り返ろうとして背中がぶ
つかる。後ろにいることも、
その近さにも驚ろかされた。
最初のコメントを投稿しよう!