『 雨 』

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    ――最寄り駅に着いてやっ  と人混みから逃れることが出  来た二人は、またひとつの傘  に収まった。   以前の家とは違い、駅前の  コンビニを逃すと店がなくな  る。だから必ず寄って行くの  が純平の決まり事だった。  「何かいる?」  「んー。昨日、帰りがけにス  ーパーで買い込んでおいたか  ら、特にないかな」  「そっか。じゃあ俺ちょっと  一回りしてくるね」   コンビニの入口でそんなや  り取りをし、牧村を残して純  平は雑誌棚を見ながら奥へと  進む。   突き当たりの飲料水コーナ  ーを前に足を止め、何を飲も  うかと物色していると、すぐ  後ろで声がした。  「たまには飲もうか?」  「っ!牧村さん?」  「ん?」   振り返ろうとして背中がぶ  つかる。後ろにいることも、  その近さにも驚ろかされた。
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