『 雨 』

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   (ヤバい。カッコいい。抱き  つきたい。てか抱き締められ  たい)  「純平君、口に出ているよ」  「!?」   再び声をかけられ振り返れ  ば、困ったような照れたよう  な表情の牧村が痒くもないう  なじを掻いていた。  「うっ!うう~っ」  「あぁ、いや、ごめんね?聞  いてない。聞こえてないから」  「ううううっ!!」   サラリーマン風のオジサマ  と、ロッカー少年風の青年は、  コンビニの中ではかなり目立  ってしまっていた。   ――買い物を済ませて足早  に店を出ると、雨足が強くな  っていた。   二人で身を寄せ合いひとつ  の傘で雨をしのぐ。先ほどの  ことで力が抜けたのか、純平  は傘の中にいることが楽しく  なっていた。
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