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公園内の散歩道を歩く。雨
のせいか人の姿はない。
二人は少しだけ辺りに気を
配りながら、そっと手を握る。
繋いだ手に照れつつ、目を
合わせて笑い合った。
「えへへっ」
「フフッ」
牧村の持った傘は純平を濡
らすまいと傾き、滴り落ちる
雨水は牧村の肩に黒いシミを
広げていく……
「毎回こうなら、雨も好きに
なりそうだなぁ」
浮かれている純平は自分で
も呆れる乙女的な発言をし、
照れ隠しに俯いた。
「そう?だったら、次の雨の
日も迎えに行かないとね」
「え……また来てくれるの?」
横を見上げた先に頷く牧村
がいて、純平は飛びつきたい
衝動にかられた。
(う~。我慢、我慢)
雨が降っていなきゃ実行し
ていたかもしれないと思うと
複雑だった。
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