『 雨 』

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   「捨て猫なら、牧村さんに頼  んでたかもしれないけど……  ノラはノラでいる方が幸せだ  ろうしね」  「そうだね。案外この公園の  主かもしれないよ」  「マジで!」  「フフッ」   純平は猫を箱の中に戻し、  コンビニで買ったお菓子の袋  を開けて猫におすそ分けする  ことにした。  「これやるから、雨に負ける  なよ」   純平が笑うと猫は応えるよ  うにニャーと鳴いた。  「純平君」  「うん」   純平が差し出された手を握  り、立ち上がる。すると牧村  は開いたままの傘をベンチに  置いた。  「いいの?」   使い捨ての傘ではない。牧  村らしいシンプルかつ重厚感  のある高そうな傘だ。それを  野良猫の雨除けに置いておこ  うしている。
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