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「お湯入れてくるからタオル
持って来てくれるかい?」
「はーい」
二手に分かれて行動すると、
それまで静まり返っていた家
が活気づいた。電気を点ける
とソファで丸まっていた猫が
片目を開ける。
「ヨシノさん、寝てたの?」
寝室に行く途中で目が合っ
た純平が声をかけるが、この
家のお姫様はツーンと顔を逸
らして目を綴じてしまった。
「あはは……」
純平とヨシノさん。なかな
かその距離は縮まらない。
純平は寝室のクローゼット
を開けるとバスタオルを二枚
取って居間に戻ることにした。
「あれ?」
ソファを見るとヨシノさん
の姿がない。床を見回しなが
らタオルをソファに置いた。
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