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「……っ」
純平の目線が、期待するよ
うに牧村の唇に移される。
熱の込められたその瞳に、
牧村は堪らない想いにさせら
らた。
「純平君……」
期待に応えようと牧村の両
手が純平の耳の後ろに移動す
る。
牧村の艶めいた低い声で名
を呼ばれただけで、純平は焦
れた。
もう何度も交わしていると
いうのに、心臓が壊れそうに
なる。
牧村の唇がすぐ目の前まで
近付いて、純平は瞼を綴じた。
薄いけど形の良い牧村の唇
――だが、今日は何故か毛深
いような……
「んっ?」
「おや?」
違和感に瞼を開けると目の
前には毛の塊――ヨシノさん
が純平の顔を踏みつけ、その
ヨシノさんの頭に牧村はキス
をしていた。
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