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「え?この家売っちゃうんで
すか?」
食卓を挟んで向かい側に座
った牧村さんが、爆弾発言を
したのは遅めの晩御飯を二人
で食べてる途中だった――
「うん。ひとりじゃ広すぎる
からね」
にっこり微笑む牧村さんに
暗い影はなかったから、俺は
とりあえず安心した。安心し
て……やっぱり複雑。
俺、榊純平はこの穏やかで
ぽややんとした牧村真一郎さ
んと、つい最近付き合い始め
たラブラブカップルだ。
お互いゲイじゃなかったし、
牧村さんは別居中の奥さんが
いたりして、俺は好きになっ
ちゃいけない!って、思って
たんだけど……牧村さんは俺
を好きになってくれた――
牧村さんはただのぽややん
じゃなくて、マジでイケてる
ぽややんなんだ!
普段は仕事が出来る凛々し
いスーツ姿が、すっげぇ格好
良いんだけど……
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