56人が本棚に入れています
本棚に追加
亨が帰ってきたことに気づいた万智留は、プイッと横を向いて無言で部屋の方に走っていった。
「ただいま。」
万智留の行動に気をもみながら亨は家の中に入っていく。
「お兄ちゃん、おかえりなさい。
今日はとんだお客様がいらしてね…。」
「さっきの連中か?」
母親は、どうしたらいいか考えあぐねながら口を開いた。
「ドラマかなんかのプロデューサーさんと監督さんなのよ。
テレビの世界では知らない人は居ないくらい有名な方らしいの…。
次のドラマの準ヒロインは万智留をどうしても使いたいって、頭を下げてお願いに来られて…
お兄ちゃん、どうしたらいいと思う?」
「断りゃいいじゃないか!
万智留の代わりなんて掃いて捨てるほどいるだろ?」
吐き捨てるように亨はいい放った。
最初のコメントを投稿しよう!