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「勝手に入んないでよ!
お兄ちゃんなんか大嫌い!」
禿ゴジラのぬいぐるみを見つめながら亨は呟いた。
「今日、来ていたアイツに似てるな…
スケベずらの禿おやじ。」
万智留は椅子から立ち上がると、鼻を膨らましながら亨の前まで近づいて亨の持っていたぬいぐるみを奪い取った。
「あの人は、日本でも有名な監督さんよ!なんにも知らないで…。」
ほっぺを膨らまし、怒る万智留は同世代より大人びた面影の中にあどけなさの残る子供の表情をみせた。
「万智留、本気で女優になりたいなんて思ってるのか?」
「悪い?私…誰にも言ってなかったけど、ずっと思ってた。
芸能界に入りたいって!」
「バカかお前は!
芸能界なんてどんな世界かも知らないで
万智留!
体目当ての監督やプロデューサーもいる…
そんな危ない世界に入らせたくないんだ。
もう一度よーく考えろ!」
亨の心配を他所に、万智留は真っ直ぐに亨を見つめていい放った。
「どんなに反対されたって私の気持ちは変わらない!
私、女優になる。」
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