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予想だにしないマレビトの襲来という悪夢に開いた口が塞がらないもも子を尻目に、ウンチくんと自称するウンチはクールに自己紹介をした。
残念ながらもも子の今の精神状態は、そんなものを気にかけるほど安康なものではないのだが。
「どうしたというんだもも子クン? 生きたウンチを見るのは初めてか? 落ち着きたまえ!」
顔をこわばらせるもも子を落ち着かせようとするウンチくんであったが、彼がいくら誠意を伝えようとしても全く説得力が無い。
これが落ち着いていられるかとばかりに、もも子は罵声を飛ばした。
「ななっ、何でこんなデカいウンコが生きて喋ってんのよ!? 誰のウンコ?! 一体どこから紛れ込んで来たって言うのよ!?」
彼を目にしたその瞬間から頭の中を渦巻く疑問を、もも子は続けざまにぶつけた。
それもその筈、生きたウンコなどもも子は勿論、誰も目にしたことなどないのだから。
「まァ待ちたまえ。訊きたいことは山程あるだろうが、まずは精神の安寧を取り戻すことが先決だ」
そう言うとウンチくんは便器の中からピョコンと飛び降り、人間さながらの二足歩行でトイレから出た。
「近寄んないでよ!!」
床に手と尻をついて更に叫ぶもも子の前をクールに通り過ぎ、ウンチくんはリビングにキッチンに向かった。
「落ち着くには飲み物がいちばんだ。ティータイムにしようか」
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