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不本意ではあるが、もも子もこのウンチくんの言葉には首肯せざるを得ない。
ウンコが生きている仕組みやその出自・正体、はては家への侵入方法など他にも疑問は幾つもあるが、まずはウンチくんという存在を認めないことには話が進まないのだ。
「……」
「沈黙、それはすなわち黙認と解釈していいね? ありがとうもも子クン。私はキミにあるお願いをするため、遥かこのおなら県まで訪れたんだ」
奈良県の方ゴメンなさい。もも子は奈良市の在住である。
「学校では度胆を抜かれたよ。キミのおならの噂は遠く離れた関東の地にいた私の耳にも届いていたが、まさかこれほどまでとはな。想像以上だ」
「なっ、アンタあたしのおならの事を知って……!?」
「ああ。この業界ではそこそこ有名だからな。強すぎるおならの勢いで学校中の人気者。“大ピンチもも子”クンのことはね」
ウンチくんがもも子を訪ねて来たのは、彼女のそのおならの凄さを知っての事であった。
昼間学校でもも子のおならに驚愕していた謎の影とは、このウンチくんのことであったのだ。いつの間に家まで移動したというのか。
「そういう体質なのよ。迷惑な事この上ないんだけどね」
「キミがおならに困っているということは、確かに私にも伝わった。だが、だとするなら私のするお願いは、キミにとっても有益かも知れん」
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