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キーンコーンカーンコーン。
数時間後、またも校内にチャイムが鳴り響く。
放課を学校中の生徒達に知らせる鐘であるが、この日のものが示すのはそれだけにとどまらない。
「サヨナラもも子ちゃん。よいお年を!」
「初詣行ったら神様に『おなら治して下さい』ってお願いするのよ!? じゃあね!」
チャイムは同時に、冬休みへの突入をも意味していた。
友達らは皆、もも子に今年最後の挨拶を告げて帰路についていく。
「余計なお世話よ! バイバイ、また来年ね」
挨拶を返したもも子も学校を出て家路についた。
昼のおならで沈んでいた気分も、さすがに多少は回復したようだ。それどころか幾分晴れやかですらある。
おならに悩まされる彼女にとって、長期休暇への突入は嬉しいニュースだ。
自宅ならば、公衆に気兼ねすることなくおならをこくことが出来るからである。
(神頼みか……。冗談であれ何であれ、このおなら体質を治す方法無いかしら?)
先程の友達の言葉を振り返りながら、自身の悩みを解決する方法を探る。
家までの道中ずっと考え事をしながら歩いていたもも子であったが、結局その答えは導き出せないまま自宅へとたどり着いてしまった。
「ハァ。そんな簡単に治るわけないか」
独り言を漏らしながらもも子は帰宅し、乱雑に荷物を置いて歩みを止めぬままトイレの扉を開けた。
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