二十四歳、冬の朝

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二十四歳、冬の朝

「おはようございます。鈴木さん」 呼び止められて顔を上げた。滅多に作業場に現れない部長が私のすぐ目の前まで来ていた。 「おはようございます。なんでしょうか?」 朝から部長がこの辺をうろついてるなんて珍しい。 珍しい=ろくな話じゃない。いやな予感がする。 「うん。あのねぇ、今日から部材補充で新人が入るからさ、朝のうちにザッと仕事教えてあげちゃってよ」 「私がですか?佐々木さんは……?」 「うーん、彼はねぇ……。たぶん教えるのはできないと思うんだよねぇ……」 「……あぁ、(確かにね)わかりました」 イヤな予感はやはり当たった。今日も私はイライラする。 佐々木のやつ。私よりずっと年上で、私よりずっと勤続年数も長いはずなのに。いつになったら仕事ができるようになるのだろう。私が今まで四年間働いてきた中で、佐々木と交わした会話は「早く、ネジ!!」「今持って来ます!!」こればっかりだ。 普通は違うんじゃないか?普通はこれだけ一緒に働いていたら雑談の一つでも交わしてもう少し打ち解けるもんなんじゃないか?いや、打ち解けるつもりはさらさらないけれども。 佐々木には雑談なんてする余裕は皆無だ。常に走っている。休憩時間ですら姿が見えない。要領悪すぎだろ。 アイツを見てるとイライラする。
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