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昼休憩は十分で食べて、残りの時間は寝ていたい。
今まで私はそうしてきた。
これからだってそうするつもりでいた。
一週間前にこの人が、来るまでは。
「ねぇ、聞いてる?鈴木さん!!お弁当といったら赤いたこさんウインナーじゃん?やっぱ赤じゃないとさ、あっ!!もしかして鈴木さんもシャウエッセン派!?パリッとならないと気がすまない派!?だってさー、うちの旦那ったらさー!!」
心底どうでもいい。寝たい。一人になりたい。矢幡さん、改め清水さんは、新婚さん特有の気持ち悪いオーラを振り撒きながら今日も声高くしゃべり続けている。
「なになに?楽しそうじゃーん?」
パートの主婦が集まってきた。勘弁して欲しい。清水さんは無駄に人を集める才能があるらしい。この一週間、私は主婦の大群に囲まれて、そりゃあもう賑やかなランチタイムに巻き込まれていた。
「そういえばさ~、清水さんは忘年会どうする~?」
清水さんとすっかり打ち解けてしまったパートのおばちゃんが話題をがらりと変えた。
「忘年会?忘年会なんかあるんですか!?わぁー!!行きたい!!行きますっ!!鈴木さんも来るでしょ!?」
「えっ!!いやややや私はっ……!!」
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