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「だめだよこの人は~、毎年何の行事にも顔出さないもの~。付き合い悪すぎて鉄壁の鈴木って呼んでるんだから~」
初耳だ。そもそもパートの主婦たちと会話すらしたことが無かった私はこのアダ名に耳を疑った。
「えー!!だめだよ!!今年は鈴木さんも来るでしょ!?私が行くんだから鈴木さんも行こうよ!!ねっ!!よし!!決まりっ!!」
「え、ちょ!私はっ……」
「はい、もう決まりでーす!!清水と鈴木参加でーす!!」
「あらまっ!!鉄壁が崩れちゃったよ!!」
パートのおばちゃん連中が笑っている。清水さんも楽しそうに笑っている。
冗談じゃない、と思う。忘年会なんて。なんで自分の時間を潰してまでこの顔ぶれと会わなければならないのか。早く「行かない!!」って言わなければ。言わなければ。でも言えない。流れに逆らえない。もたもたしている間にすでに忘年会の話題は終わってしまった。ここで私がやっぱり行かないなんて言ったら場の空気がどうなるのか。
だからいやだったんだ。だから私は職場での友達なんて欲しくなかったのに。こんなのは決して望んではいなかった。なのに抜け出せない。
そもそも清水さんはなぜ私の側にいるのだろう。こんなに友達もできたことだし、私なんていなくたって十分毎日楽しいはずだ。なんでこんな、陰気臭くてつまらない私なんかと……。
私なんかと、いてくれるのか……。
もう私はどうやって清水さんから離れたらいいのかがわからない。
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