十四歳、とある朝

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駆け込んだ三年一組の教室にはすでに朝練を終えたらしい男子柔道部の三人がいて、ニヤニヤ笑みを浮かべなから私の様子をうかがっていた。 あ、何かされたな……。と瞬間的に悟り、目だけで教室を見回す。 それはすぐに見つかった。 黒板に貼り出された絵、絵、絵。どれも見覚えのある……、私の描いた絵だ。 私はこれを恐れていたのだ。授業中に、休み時間に、少しずつ少しずつノートに描きためていたイラスト、スケッチ、落書きの類い。それら一枚一枚がご丁寧にノートから離され黒板に貼り出されている。 これはきっと私のせい。自業自得。私が、昨日、うっかりノートを忘れて帰ってしまったから。常に警戒を怠ってはいけなかったのに。 私はもう教室の入り口で黒板を見つめたまま固まって動けなくなった。 なんでこんなことするんだろう。 なんでこんなことするんだろう。 なんでこんなことするんだろう。 頭の中で同じ言葉だけがひたすら回る。 私の悪い癖だ。困った時には現実逃避。今やらねばならぬことがもう考えられない。心ここにあらず。いっそこの体もここから消えてしまえばいいのに。
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