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「――――!!!!」 誰かの怒鳴り声で我に返った。 何事だろうと辺りを見回すと佐々木がマイクを握りしめ棒立ちになっていた。 意外だ。アイツ、律儀に忘年会に参加していたのか。 「よっ!!佐々木っ!!」 「いいぞ!!佐々木っ!!へたくそっ!!」 先ほどの怒鳴り声は男性社員たちからのヤジだった。 「へたくそ佐々木っ!!」 「よっ!!へたくそ!!」 あちこちから飛ぶへたくそコールに一気に気分が悪くなった。なんなんだこれは。みんな揃って。 佐々木はいつものように玉のような汗を浮かべ、ひきつった笑顔で歌っている。 「へったくそっ、へったくそっ!!」 へたくそコールとみんなの手拍子。雑音と煙草の煙の向こうで霞む佐々木の姿。笑顔の同僚たち。なんなんだこれは。表面上はすごく楽しい忘年会だ。ただこの状況で絶対に楽しめていない人がいる。 おい、佐々木。それはお前の本当の笑顔なのか? なんでお前はこの状況で笑ってるんだ? ひょっとして毎年こうだったのか?
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