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十九歳、夕暮れ時
私はバイト上がりの疲労感に酔いながら歩道を歩いていた。
今日は特に忙しかった。ランチタイムはあっという間に満席になり、時間に追われたサラリーマンらしきおじさんに早くしろと怒鳴られた。窓際の席に座ってたおばさん連中はオススメはどれかとしきりに聞いてきた。あなたの好みも知らない私に答えられるわけなんてないのに。
タイムカードを押したあとも店長から小言を言われた。私のやる気のない態度が気に入らないらしい。
だってしょうがないじゃない。みんなが私を苛立たせるんだもの。こんなところでどうやってやる気を出せと言うのだろう。
お気に入りの歩道橋に差しかかる。私は夕暮れ時のこの歩道橋からの眺めが大好きだった。人も車も街も、全てがセツナイ色に輝いて早く今日を終わらそうと急いでいる。
私はここでそれを見下ろすのが大好きだった。
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