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それは、しとしとと雨が降っている日のことだった。
突風が吹き、窓は悲鳴をあげていた。日付が変るか変わらないかの時刻に、僕はいつも通りタオルケットを頭までかぶって眠りに落ちた。
その日の夢は、変な夢だった。内容もなかなか変だったが、僕が気になったのはそれではなく、その夢の結末部分に起こった出来事だ。
「覇南軍」と名乗る警察に捕まり、パトカーらしき車の後部座席に座らされて移動していた時のことだ。ずっと口を閉ざして僕の隣にいた人が、急に口を開いて僕に言ったんだ。
「なぜ捕まったかわかるか?」
おかしな質問だ。僕は右の左も分からない状況で捕まったのだ。なぜかなど、捕まった僕本人が一番わかっていない。
いや、わかるほうがおかしい状況だった。
僕は俯いたまま、大きく頭を横に振った。
相手にもはっきりとわかるほどに。。
すると相手は、フッと鼻で笑ったんだ。運転席にまで聞こえるほどに。頭にきたよ。
「わかるはずないだろう。なんせこれは夢だ。
あっという間に終わるしな。」
「知っているはずだよ。キミは。」
意味不明だった。僕にはわかるはずもないし、わかったところで関係ない。口にも出したが、これはただの夢だからだ。
そんな僕の考えを否定するような言葉をあいつが言うことさえなければ、僕の考えは僕の考えで終わるはずだった。
「だってキミ、あのゲームしたんでしょ?」
「あれって……なんだよ。」
「ああ、あれじゃあわからないかい?」
「……」
「そうだなあ、それじゃあ。
拳銃、人、高層ビル。これでどう?」
その時、僕の頭は金槌で殴られたように重くなった。
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