4人が本棚に入れています
本棚に追加
パンッ パンッ パンッ
数度の乾いた音が深夜のビルで鳴った後、入口にいる男は呟く。
「……終わったみたいだな」
男の年齢は20代半ばくらいだろうか、広がる闇に溶け込んでしまいそうな漆黒のスーツに身を包んでいる。
男が時刻を確認しようと漆黒のスーツの袖口にある腕時計に目を遣ると、時刻は二時十三分を示していた。
作戦開始から3分。中々優秀だな。
男は感心しながら、スーツの襟に着けられた通信会話用のマイクに向かって言葉を発する。
「終わったか?マリ」
「……はい。目標全て沈黙させました」
間髪入れずに男の耳に着けられたイヤホンから幼い少女の声が聴こえてきた。
「よくやった。今から、俺もそちらに向かう」
男はマイクに向かい、そう一言発するとゆっくりとビルの中へと入ってゆく。
「はい」
イヤホンで少女の声を聴きながら。
最初のコメントを投稿しよう!