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ビルの中は灯りがなく、闇に包まれていた。
男は弱い月明かりを頼りにその中を進んでゆく。
ひんやりとした空気に包まれたビルの中には、火薬の匂いと血の生臭さが漂っている。
なるべく足音を立てないようにしながら、男は慎重に辺りを見回しつつ、目的地である3階へと進んでゆく。
男の手にはグロック26が握られている。
あいつが討ち漏らすなんてことはないだろうがな。
男はそう思いながら、グロック26を構え、一階から二階、二階から三階へと階段を上がってゆく。
男が三階まで階段を上ると、そこに一人の幼い少女がいた。
腰あたりまで黒髪を伸ばし、少女らしく愛らしい衣服を身にまとった少女は、階段を上ってきた男に声を掛ける。
「……全部で5名、全て仕留めました正樹さん」
月明かりに照らされる少女の衣服は返り血を浴びて赤黒く染まっており、手には幼い外見にはおおよそ似合わない大型の自動拳銃、デザートイーグル50AEが握られており、月の光を鈍く反射させている。
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