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私はこうなる前、派遣会社に登録して働いていた。
電話に出たり、書類をファイルしたり。
そんな事務の仕事を毎日たんたんとこなしていた。
仕事が嫌いだったわけでもない。
けれど、好きだったわけでもない。
「贅沢よ。」母親の言葉は私の心の中をざわざわとさせる。
私は悪いことをしているの?
と、自分に問い、また、暗く沈む。
だめよ。そんなことあの子の前で言ったりしたら。
ねえ、知らないの? がんばれとか、怠けてるとか、
そういうのだめなのよ。
私の部屋の戸は閉めてある。けれど、
叔母の声はよく通る。
母は、同じ市内に一人で暮らす姉が来るたびに、
私のことを愚痴っている。裏表のない性格の、
叔母の答えは、私のいる部屋まで、よく聞こえる。
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