4人が本棚に入れています
本棚に追加
20XX/1/2
「明けましておめでとうございまーす」
その日、私はまだ歩くこともできない赤ん坊を抱いて、実家に新年の挨拶に来ていた。
せかせかとおせちの重箱を並べる母の慌て顔。昼間っからビール瓶を抱えてにやけている父の顔。就職して家を出ていた弟の顔なんて本当に久しぶりに見た。
「うわ、なんだお前ー!ヒゲなんて生やしてぇ!似合わなー!」
「うっさいよ!これ結構評判いいんだかんな!?」
「嘘つけー!その汚い顔でこっちくんなっ!凛が泣くわっ」
「イケメンすぎて凛ちゃんだって俺に惚れるはずだ!」
「ありえんわ!」
姉弟の言い合いを前にしても凛は、私の腕の中で小さな寝息を立てて眠っていた。
よし、そのまま眠ってな。ヒゲ怪獣見て泣かれたら困るし。
最初のコメントを投稿しよう!