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「あー、そうだ。姉ちゃんケータイ貸して?」
「え?なんでよ?」
「俺が登録してるサイトさ?友達紹介するとポイント貰えるからさ。登録だけさせて?」
「えー、やだよ。変な迷惑メールとか来るようになっ」
「ならないから!これは大丈夫なサイトだからさ。すぐ退会しちゃってもいいからさ」
「やだなぁ」
「ゲームとか小説とかあるし結構暇潰しになるよ?」
「主婦に暇なぞなーいっ!」
「まぁ、いいからいいから。欲しいアイテム高すぎてポイント足りないんだよ」
モソモソとケータイを取り合いしてる間に腕の中の凛が起き、案の定、弟の顔に驚き泣き出した。
「あー、もうホラッ!だから言ったじゃん!よしよし凛ちゃんあっちでおっぱい飲みましょね~」
「ケータイ登録しとくよー!?」
「はいはい!」
私はケータイを弟に預けたまま隣の和室で凛に授乳を開始した。
まだ少々怯えた表情で見慣れない室内を見回しながら、乳にしがみつく凛がかわいくて、いとおしくて、自然に目尻が下がる。
「凛ちゃんいっぱい飲みな~。お腹いっぱいになったらじぃじとばぁばにご挨拶行こうねぇ」
うっとりとまたまぶたを閉じそうな凛の頬を撫で、小さな体を抱え直す。
私にとって幸せって、こんな小さなもので十分だったのだ。
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