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「あ……」
「はいどーもー!」
「エガミさん?」
「そーだよ!うわぁ凛だ凛だー!あ、てか凛ちゃんはこっちか」
うちから三駅離れた少し大きめの駅に到着したエガミさんは会うなり凛を抱き上げ、あやし始めた。
「ちょ、あんま振り回すと泣く……」
「泣かないよー、凛ちゃんはお利口さんだもんなー?凛ちゃ~ん、エガミおじちゃんだよ~」
エガミさんの腕に抱えられた凛は意外にも笑い声を上げていた。
「おぉっ……すごい!人見知りの凛が泣かないとはっ……」
「俺は子供にだけは好かれるタイプだからなっ」
「若いお姉ちゃんに好かれるタイプだったら良かったのにねぇ~……」
「うっさいよっ。まぁ、いい、まぁ、いい、とりあえずカラオケ屋行こう」
「うん、南口にあったはず」
幼児を抱えて二人並んで歩く様は誰が見ても「家族」に見えているだろう。
違うんだけどな。
私達はそうじゃなくて、これは……
……友達、というかなんというか……、まぁ友達なんだけど……
なんかしっくりこない。
不本意だわ。
不本意ってこういう時に使う言葉だっけ?
私達はね。
私達はね。
友達……の、さらにそれの上級のやつなんだから。
私はエガミの右横でモヤモヤとした心を持てあましながら、すれ違う人達を睨み付けるように歩いていた。
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