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「よしっ、歌え凛っ!あ、凛はこっちか……。あれ?凛はなんて名前だっけ?」
「私、洋子だよ……」
ちょっぴりレトロでありふれた平凡な名前。初対面の相手に自分の名前を披露する時に変に気恥ずかしくなるのはなぜなんだろう。
「洋子かー、んじゃあ、ヨウ!とりあえずこれ歌って?」
エガミさんがリモコンを操作するとスピーカーからは聴き慣れた前奏が流れ始める。
ステージのように一段高くなった場所では凛が聴き慣れた曲にノリノリで両腕をバタつかせている。
「ちょっとしょっぱなからなんという選曲をっ……」
「だって、歌えるだろ?」
「……うん」
歌える。てか、これはボーダーズのアルバムにしか入っていないマニアックな曲。だけど、私の一番好きな曲。
そこまでピタリと見抜かれていて、悔しさ半分、嬉しさ半分……いや、悔しさ10%で嬉しさが90%くらいだろうか。
「よぉっし!歌うぞイエーイ!!!!!!」
「イエーイ!!!!!!」
「うきゃー!!!!」
「それ歌ったら次はティアのやつね」
久しぶりのカラオケで、火がついた私とエガミさんはそこから交互に、確実に、お互いのツボである曲を選んではリモコンを操作していった。
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