20XX/1/2

1/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ

20XX/1/2

「明けましておめでとうございまーす」 その日、私はまだ歩くこともできない赤ん坊を抱いて、実家に新年の挨拶に来ていた。 せかせかとおせちの重箱を並べる母の慌て顔。昼間っからビール瓶を抱えてにやけている父の顔。就職して家を出ていた弟の顔なんて本当に久しぶりに見た。 「うわ、なんだお前ー!ヒゲなんて生やしてぇ!似合わなー!」 「うっさいよ!これ結構評判いいんだかんな!?」 「嘘つけー!その汚い顔でこっちくんなっ!凛が泣くわっ」 「イケメンすぎて凛ちゃんだって俺に惚れるはずだ!」 「ありえんわ!」 姉弟の言い合いを前にしても凛は、私の腕の中で小さな寝息を立てて眠っていた。 よし、そのまま眠ってな。ヒゲ怪獣見て泣かれたら困るし。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!