第1章

10/40
前へ
/40ページ
次へ
あのマリアには苦しい想いをさせてしまった この子にも同じ想いをさせるかもしれない 若干二十歳の、 やっと店に慣れたばかりの、 一生懸命なこの子に… すっかり臆病になってしまった 自分は誰も幸せにはできないんじゃないかと、 そんな風に考えて。 そっと… 触れる ピクンと体は跳ね上がり、 肩で震える息を吐く 臆病な俺が、 それでも触れるのをやめられなくて… それどころか、 触れた指先から、 彼女の柔らかい感触が頭の中を支配して… 唇を… キスをしたときのような柔らかな香りで、 何かに酔ったように夢中になる 脚に触れると、 力が入ったのが解る それをそっと押し広げ… 唇をつけると 体を仰け反らせて息をあげる その様子を感じながら… 俺は。 頭の両脇で枕を握りしめて… 微かな声を発して… 震える体をコントロールできない様子で… もっともっと感じたい… 出来るなら、 この溢れる蜜に身を沈めて… そう欲する自分をどこかで止める、俺が居て… そっと体を離し、 乱れたシーツを掛けてやる… 悲しい顔をして… 彼女は俺を見上げて…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加