第1章

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左の指で私の髪を梳かしながら、 額に軽いキスをして… 肩を抱いたらおおきな息をひとつ吐く。 「キミって子は…」 怒ってるのかと思った。 でも、 口調はそんな風じゃないくて… ごめんなさい… と、 どうしていいか解らない声を出す。 「覚悟はあるんだろうね?」 「覚悟…ですか?」 その言い方にちょっと戸惑う。 「私と…付きあう…覚悟。 店では知られないようにしなきゃいけない。 街にはいろんな噂が立ちこめてる。 あることないこと。 それでも、 私を信じて待っていてくれる覚悟。 それがなきゃ、 こういう関係は続かない 体だけを求めるのは、 好きじゃない 」 私と向き合ってくれようとしてる。 それが嬉しくて… 涙が溢れてくる 「待ってます。 どんなことがあっても…」 そうか。 わかった。 そう言って肩を抱きしめる手に、 力が入る。 いいん…だよね… ここを私の居場所にしても… 「恥ずかしい想いをさせて、 すまない…」 もう一度、 額にキスを落とすと、 髪の毛を梳く。 決壊が壊れたように溢れる涙… 「だから、 悪かった。って…」 ちょっと笑ったような声。 心が近づいた…瞬間。
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