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左の指で私の髪を梳かしながら、
額に軽いキスをして…
肩を抱いたらおおきな息をひとつ吐く。
「キミって子は…」
怒ってるのかと思った。
でも、
口調はそんな風じゃないくて…
ごめんなさい…
と、
どうしていいか解らない声を出す。
「覚悟はあるんだろうね?」
「覚悟…ですか?」
その言い方にちょっと戸惑う。
「私と…付きあう…覚悟。
店では知られないようにしなきゃいけない。
街にはいろんな噂が立ちこめてる。
あることないこと。
それでも、
私を信じて待っていてくれる覚悟。
それがなきゃ、
こういう関係は続かない
体だけを求めるのは、
好きじゃない 」
私と向き合ってくれようとしてる。
それが嬉しくて…
涙が溢れてくる
「待ってます。
どんなことがあっても…」
そうか。
わかった。
そう言って肩を抱きしめる手に、
力が入る。
いいん…だよね…
ここを私の居場所にしても…
「恥ずかしい想いをさせて、
すまない…」
もう一度、
額にキスを落とすと、
髪の毛を梳く。
決壊が壊れたように溢れる涙…
「だから、
悪かった。って…」
ちょっと笑ったような声。
心が近づいた…瞬間。
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