第1章

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そんなことを言ったのにも関わらず、 表情ひとつ変えないオーナーさん 目の前に座るとさすがに顔もはっきりと見えるし、 スーツの前ボタンをはずして座ったときのまま、 身じろぎひとつ なさってない。 私の顔をじっと見たまま。 いつもの、 険しい顔。 私はその目から、 視線を外せない… 好きだって言ったわけでもないし、 もちろん付き合ってるわけでもないのに… こんなことを言った私に呆れられているのだろうか。 話す言葉もない…と。 そう、 想っていらっしゃるのだろうか… 「……脱いで…」 聞こえた声。 低く、響く。 心の真ん中に突き刺さる。 自分から抱いてほしいと言う女は、 自分から服を脱がなきゃいけないってこと…? 私は覚悟を決めた そして、 立ち上がり、 ソファーの脇まで行き、 背中を向けて… 背中のファスナーに手を回した…
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