第1章

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部屋の前で立ち止まって動かなくなって… そうだ。 引き返そう… 揺れる心の中は、 帰したくないという気持ちと、 部屋に入ったら後戻りは出来ないという気持ちが混在してて、 自分でもどうしたいのかも解らなくて… 彼女の動きに願いをかける だけど、 彼女は、 足を踏み入れた。 このとき、俺は。 あのマリアのことなど微塵も考えていなかった… 後ろ姿で、 天使の羽根を背中で解き去って… もうダメだ。 俺は立ち上がる。 上着を脱いで… それを彼女に掛けようと近づく。 昔見た何かの映画で、 自分から服を脱いだ女に着ているトレンチコートを背中から掛けてやるシーンを真似るように。 だけど、 映画のようにはいかないな… 近づいた時に見えた 屈んだ脇の腕との隙間に見えた膨らみ それに触れたくて… 理性は、 跳んだ。
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