第1章

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脱いだ上着を床に落として、 その背中を勢いに任せて抱き締める… 近づいて初めてわかった… 小刻みに震えてる。 体を俺と向き合わせると、 涙の跡が一筋 唇を噛んで 尚も瞳には涙を溜めて、 閉じた瞬間に、 涙がひとつぶ、ふたつぶ。 こぼれた… その筋を指で拭って唇を重ねる… 止められない、 俺の… 全身を一瞬、氷のように固めたけど… 深く… 唇を合わせると すぐに俺の腕の中で溶かすように体温が上がって… 彼女の香りに包まれる 夢中で貪るようにその香りを食い尽くしながら 抱き抱え、 ベッドルームのドアを開ける… 本来、 裸の女が目の前に居ても、 心を揺るがせることはしない。 そうして今まで生きてきた。 利益にならない女は抱かない。 それが、 あの街でNo.1と言われるようになるための方法だったから。 そうできるようになるまでには何年もかかったけど。   抱いちゃえばいいじゃん そう、 俺が耳元でささやく。   店の子とまたそんな関係になれば、   マリアと同じことになってしまうぞ… と、ブレーキをかける俺がいる。 だけど、 俺は… 彼女をベッドに押し倒す…
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