第1章

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 経営学を学んでいた俺は、いくつかの経営コンサルタント会社の説明会に足を運んでいたが、決してこの業界で大手とは言えないその会社への就職をすぐさま希望した。    そう、俺は彼に一目惚れしてしまったのだ。    そうなってからの俺の行動は彼に向け一直線だった。    しっかり彼と近づける同じ部署を志望し、どんどん押していくつもりだったが、同じ部署でもチームが違ってしまったため、社内で見かけることはあってもなかなか彼と接点を持つことが出来ずにいた。    それならばと、俺は少しでも自分をアピールするために必死に仕事をした。学生じゃなくても常に勉強し続けなくてはならないコンサルタントの仕事はやりがいもあり、自分なりの不純な目標もあってか、俺は早くもこの会社で一二を争うほどの成績を残すほどにまで成長した。  誤算だったのは……頑張りが評価され過ぎて、彼よりも早く出世してしまったこと――――。    更には彼が俺の部下に配属されてしまい、決まった当初は、後から来た若造なんかに先を越されていい気分はしないだろうし、そのせいで嫌われてしまうのではと危惧していたが、そんな心配も不要なほど彼は俺を認めてくれたのだ。    自分よりも年下の上司なのに、まるで崇拝しているかのように彼は接してきた。  自分を慕っていることは日頃からの過剰なまでの忠誠心で気付いている。しかもそれは尊敬だけの感情ではないと断言できる。思い違いではない、過去にそれなりの人数から俺は好意を寄せられたことがある。気付かないほど恋愛に対して疎いほうでもないし、彼の自分への接し方でそれは確信している。彼も俺に好意を寄せているのだと――。    だからこそ、今まで結構わかりやすい誘い方をしていたつもりだが、それでも彼は一向に手を出してこないのだ。    自分で言うのもなんだが、俺の容姿はかなり良い方だ。中性的な顔立ちに涼しげな眼もとは見つめられると誘惑されているようだと誰もが口を揃えていう。それは男女問わずにだ。    だからこそこの異例なスピード出世は、同僚に俺が身体で仕事を取っているんじゃないかと噂されたほどだ。そんなことせずとも実力で仕事を取ってきたのを彼らは認めようともしなかった。
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