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ギュッと握りしめた手をさらに強く握りしめ、彼からの言葉を待っていても無駄なことなのは今までの行動でわかっている。だからこそ自分から告げなくては先には進まない。
「俺がお前をどう思っているのかなんてわかっているんだろう? 好きだ、ずっと前から俺は高条のことが……」
逃がさないように高条の腕を掴みながら告げる。告白なんて今までしたことがないから、恥ずかしくて顔を上げられない。
「高条も俺の事……」
「斎木さんっ」
その先を言う前に高条が強く止めた。そしてゆっくりとそれを口にする。
「お気持ちは嬉しいですが……それはいけません」
「……高条……?」
「お先に失礼します」
目の前が真っ暗になる。
まさか振られたのか……あんなにも熱情的に俺を見つめておきながら、一切興味ないなどあるわけがない。それともやはり自分の勝手な思い込みなのだろうか。彼が優しいからそれを愛情と勘違いしてしまったのか。
もう彼を諦めなくてはいけないのだろう。自分の我が儘にここまで付き合ってくれ、彼の貴重な時間を今迄たくさん奪ってきた。自分勝手さに呆れて、失恋したのに涙さえ出ない。
もう解放してあげよう、俺なんかが傍にいては彼をダメにしてしまう。
でも……できることならば、一度でもいい。最後の我が儘を聞いてもらえないだろうか。
「そうか、わかった……でも、最後の我が儘だ――――一度でいい、抱いてくれないか」
「……斎木さん、それは」
「頼む。男なんかに欲情できないだろうが、気持ちよくなるように俺も努力する。だから抱いてくれ」
必死に縋り懇願する。困惑しているのが肌で感じる。でもここまで来たら引くことなんかできない。だから言った。真面目な彼が拒めないようにするために――――。
「抱け、命令だ」
力強く拒むことなどできないように、彼に縋りながらも、しっかりと彼を見据えて言い放った。
寝室へと向かう俺の後ろから、高条がついてくる。同意したと受け取って良いのだろう。俺が無茶を言ったせいで、その顔からは辛そうな様子が伺える。だからといって引き返すつもりはない。これで未練なく彼を忘れる、だから最後の思い出にこの身体に彼を受け入れたい。
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