昭和10年末。

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 一方、キャサリンとユリネの女性陣もまた、男性陣と同様話に花を咲かせている。 さすがはおしどり夫婦、キャサリンもオラルト氏と同様ユリネに一枚の写真を見せている最中であった。 その写真には、当時5歳であったリリカのドレスアップした姿映っている。 「可愛い… それに素敵!」 思わずそう口にするユリネ。 「せやろユリネちゃん。 リリカはオラルトとうちの自慢の娘やさかい」 愛娘の晴れ姿を誉められたのが余程嬉しかったのか、やがてキャサリンは女同士の秘密だと前置きした上で、ユリネに件の写真に纏わるエピソードを話してくれるのであった。 「イチゾウ君… ヘイツェ君の親友がこっそり教えてくれたんやけどね。 ヘイツェ君たら、この写真をイチゾウ君に見せながら こいがオイん人生の目標ばい! …って宣言したんやて」 「! 山下さんの御主人て… 大胆」 思わず恩師の口調でユリネ。 その後キャサリンが教えてくれたところに拠ると、当時海軍少尉であった平佐衛門は、現在鉄道省の重要ポストに在る親友十河一蔵(そごう=いちぞう)に、海軍大学校校舎の写真のつもりで件の写真を見せたらしかった。 そして平佐衛門は、未だそれに気付いていないらしい…
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