不思議の中へ。

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ユリネが驚いたことはまだある。 省線ホームから一段高い場所には立派な高架線が築かれており、そこを砲弾をそのまま機関車にしたような車輌に牽引された列車が、引っ切りなしに往来しているではないか。 「陸攻さん… あの、白と青の列車は何という列車なの?」 傍らに陸攻がいてくれた事に内心安堵しつつ尋ねるユリネ。 すると陸攻は、まるで狐に摘まれたような表情を浮かべながら口を開いた。 「あれは新幹線だよ。 スワロー国鉄が誇る世界一の超特急さ。 最新型の電車になると、時速150ノットも出せるらしいよ」 「そ、そうなの…」 辛うじてそう口にしたユリネだが、疑問そして不安は膨らむ一方である。 150ノットをKmに換算すると時速300Km。 時速300Kmといえば、列車ではなく飛行機の速度域ではないか。 そして、新幹線という名前の列車を聞いたのも見たのもこれが初めてなのである。 スワロー国とは一体どこにある国なのだろう… やがてユリネは、内心にて一つの仮説を導き出すに至る。 その仮説とは、キジムナー様から二人へのちょっと不思議な夢のプレゼント。 そうとでも思わなければ到底つじつまが合わず、また300Kmも出せる列車の説明がつかないのだ。 また、自分達が今いる場所が、大日本帝国本土ではなくスワローという国らしい事も。 そして、海軍兵学校3号生徒である筈の陸攻が、既に海軍中尉の階級章をつけている事も…
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