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「引越し屋は、十時にならないと来ないので、まずは座りましょう。
コーヒー買って来ましたから」
といつもの様にゆいが仕切る。
『荷物で狭いですけど、古田さんも京田さんも座って下さい』
四人は荷物をよけて、床に腰を下ろす。
古田は、部屋の中を見て、あの時の事を思い出していた。
自分が自分じゃなくなった、あの日の事を…
あんな事があったのに、今もこうしてアキと話が出来る事が、古田にとっては嬉しい。
古田の中では、まだアキを思う自分がいる。
だが、あの頃とは違う感情。
アキのために、力になりたいと思う自分。
どんな事があっても、古田の中ではアキを嫌いになる事なんて出来なかった…。
この想いを二度と言葉で伝える事はないが、それでもいいと古田は思った。
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