第三話 月に願いを

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金曜日の夜、いよいよ明日は引越し。 思い出のこの部屋とも、とうとうお別れです。 『ありがとう』 そんな言葉が頭に浮かんだ。 荷物を詰めるのも、最終段階へと突入する。 「アキ、このダンボールはもう詰めたの」 ゆいが引越しの手伝いをすると言って、泊りがけで来てくれていた。 『うん、そのダンボールはもう詰めたから、玄関の前に置いておいてくれる』 一人では、なかなか進まなかった片付けも、ゆいのお陰でかなり片付いた。 「それにしても、こうやって片付けてみると、結構荷物ってあるものだよね」 ゆいは、そんな事を言いながら、荷物を運んでいた。 『そうだね、ここに住んで三年で、また増えた気がするよ』 一志が居なくなった後、この部屋に引越して三年の月日は、短い様で長かった。 明日、思い出はここに置いて行きます。
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