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[新]『あっ…もしかして……。父さんくらいベテランになれば、カルテなんて作らなくても全て頭の中に入ってるのっ!?』
キラキラとした目で俺を見つめる新。
なんて純粋無垢な瞳なんだっ!!
この瞳を前に、「カルテというモノの存在なんか忘れてた」…なんて言える訳がないっ!!
だが、「全て頭の中に入ってる」なんてカルテの存在意義を全否定する訳にもいかないっ!!
いや、それでいくと馬鹿女だけでなく徳川・源・島津・服部などのカルテが無いのもマズイのだが……。
そうなると………
[ア]『……………忙しくて、カルテを作る余裕がなくてな。』
………なんて、無難な言い訳するしかないじゃないか。
[新]『なるほどっ!確かに、父さんは色々と大変だったもんね。よしっ!これからは、僕がちゃんと母さんのカルテを作るから、父さんは安心して自分の仕事してね!』
クッ…一点の曇りもない新の笑顔が眩し過ぎて、罪悪感がハンパねぇっ!!!!
[ア]『あ~っと…それじゃあ、馬鹿女の事は新に任せるからな?俺は、ちょっと鬼島津の所に行ってくる。』
[新]『分かったっ!父さん、お仕事頑張ってねっ!』
ぅぐっ…心がッ…心が痛いッ!!
純粋無垢な新の瞳から逃げる様に、俺はその場から逃げ出した。
城の外に出ると、鬼島津が林太郎と話をしていた。
…………丁度良い。
林太郎に、「徳川にグラブジャムンを与えてはいけません」と釘を刺しておこう。
[ア]『お~い、林太郎。』
[林]『あっ、先生。丁度良かった。』
[ア]『ん?何かあったのか?』
若干身構えた俺に、林太郎は困った様に眉を寄せる。
[林]『う~ん……取り敢えず、コレを見てくれ。』
そう言って、林太郎はブランブランに揺れる腕を見せる。
[ア]『………コレ…お前…肩の関節外れてないか?』
[林]『分からない。さっき、階段転げ落ちたらこうなったんだ。ブラブラするし、痛くて困ってたところだ。見ろ、この脂汗。凄いだろ?』
いやいやいや…なら、もう少し痛がれよっ!!
呑気な顔して脂汗滲ませるなっ!!
[林]『提督が「引っ張れば治る」っていうんだが…提督に引っ張られたら、腕が取れちゃいそうだし……でも、痛いし……どうしようか悩んでたんだ。』
[ア]『悩むくらいなら、真っ先に俺の所に来いっ!!ほら、肩はめるぞっ!!』
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