第1章

5/6
前へ
/7ページ
次へ
 わたしが何か粗相をすれば、母はわたしを咎めました。 わたしがわがままを言うと、父はわたしを叱りました。  しかし、わたしがよいことをすれば、父も母も、わたしを褒めてくれるのです。  人から褒めてもらうのが嫌な人間などいません。 子供にとって、大人から褒めてもらえるというのは、至上の喜びでありました。 それも、父や母から褒めてもらえるともなれば、なおさらにございます。  その日から、わたしは両親の手伝いに、積極的になりました。 そのたびに、父や母の喜ぶ顔や、自分を褒めてくれる言葉をもらい、わたしは幸せを感じていました。 これが、わたしが「いい人」を歩むきっかけとなったのだと思います。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加