第1章

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 高等学校を卒業したわたしは、父の紹介で、とある会社に入社させていただきました。 けして大きな会社ではありませんでしたが、社長をはじめ、会社の人間は皆あたたかく、すぐに会社の空気にとけ込むことができました。  社会人となったわたしは、あいかわらず「いい人」として振る舞いました。 いや、この頃には「いい人」を演じるようになっていました。  以前のわたしは、困っている人がいれば、すぐさま手を貸していました。 しかし、当時のわたしは、困っている人はどこかにいないだろうか、と自らの目を光らせているような有り様でございました。
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