第1章

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 それでも、わたしの会社での評価は、日増しに高まっていきました。 今までとなんら変わりはなく、「優しくて、誠実で、立派な人」と評されるようになりました。 それも当然のことでした。 人の心の内というのは、他人にはわかるものではありません。 いかにわたしの心が純粋でなくなっていたとしても、やっていることはあの頃とおなじく「いい人」のそれなのですから。 評価が高まるのは当たり前なのです。  これらのわたしへの評価の過程は、学生時代とまったく同じでした。 困っている人を助け、悩んでいる者に手を貸し、それらを積み重ねて自分の評価へ反映させていく。 学生時代の経験から、わたしの中には自分の株を上げるためのノウハウが、見事に確立されていたのです。
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