第1章

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 もし、わたしが「おい、きみは礼も言えないのか」と、相手に言ってしまえばどうなるでしょう。 おそらく相手は、うるさい奴だな、とか、礼を言われるために手を貸したのか、とか思うはずです。 それは、わたしの評価を下げることにつながりかねません。 相手から悪い印象を抱かれてしまうに違いありません。 だからこそ、わたしは礼を言ってもらえなかったとしても、それに対する怒りを自分の心の内から出すことはありませんでした。 ただただ自分自身の内側で、ひたすらに怒りをくすぶらせていることしかできませんでした。
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