第1章

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 思えば、それは学生時代から同じことでした。 皆、自分が困っている時はわたしを頼ってくるけれど、だれもわたしを助けてくれた記憶はありません。  そのことに気づいてから、今までの自分の人生がひどく馬鹿馬鹿しく思えてなりませんでした。 周りから評価され、慕われているのだと信じて生きてきたにもかかわらず、その実、ただの便利屋でしかなかったのですから。 我ながらほんとうに滑稽でした。 わたしは「いい人をやめよう」と、心に決めたのです。
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