第1章

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 同僚達にはあいさつをしませんでした。 今までのことを考えると、どうにも気が進まなかったのです。  それからわたしは家に帰り、荷物をまとめました。 この街を出ようと入院中に決めたのです。 一度すべてを白紙にしたかったのです。 「いい人」を演じていたわたしのことを知る人が誰もいない、どこか遠くへ行きたかったのです。  優しい人という自分に酔い、いい人という言葉に惑わされ、周りにとって自分は必要不可欠な人間なのだ、と勘違いをしていたわたしを捨て、また始めからやり直したかったのです。
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