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「旅の方かな。こんな辺鄙な場所へたずねてくるとは珍しい。泊まるあてがないのなら、うちへ来なさい」と。
わたしはその言葉に甘えました。
そして、藁葺き屋根の、お世辞にも立派とは言えない小さな家屋へ、お邪魔させていきました。
たしかに立派な家ではありませんでした。
しかしその家は、都会の街にはない、不思議なあたたかみを備えていました。
ご老人は、わたしの素性について何も触れませんでした。
たんたんと食事の準備をし、たくさんの料理を振る舞ってくださり、ふかふかの布団をわたしにあてがってくれたのです。
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