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次の朝、わたしはご老人に言いました。
「どうか、わたしをこの村に置いてください。無茶な願いなのは、百も承知しております。しかし、どうしてもこの村で暮らしたいのです。わたしには行くあてがありません」と。
ご老人は、やはり何も詮索することなく、優しく微笑んで
「この村は何もない。だが、来る者は拒まんのだよ」と言ってくださいました。
そして、わたしを一軒の空き家に連れて行ってくださりました。
その空き家は、ご老人の家と同じ藁葺き屋根の、こじんまりとした、それでいて不思議なあたたかみを持った家でした。
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